ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


そして、今――


金色の少年の心臓が、

少女の中で動いている。


確かな生の鼓動を刻んでいる。


目覚めた少女が事実を知った時、


――いやああああああ!!!

――陽斗おおおおおお!!!


その慟哭は激しかった。


少女は、金色の少年をかなり慕っていたのだ。


抜け殻のようになった少女を癒したのは、彼らの存在だ。


毎日のように病室に来て彼女の心を解きほぐした。


ようやく、少女は現実のものとして受け取れることが出来たようだった。



風が――吹く。



――ぎゃははははは。


金色の少年の笑い声が聞こえたような気がして、少女は振り返る。


しかしそこには誰も居ない、ただの墓地。



――芹霞ちゃん、好きだよ。



そんな声も聞こえた気がしたけれど、少女は気のせいだと思った。


ただ無意識に、心臓の位置に手をあてている。


陽斗は居る。


自分の中で生き続けている。


陽斗がくれた命、大事にするから。


もう、陽斗に苦痛を与えないから。


一緒に…"人間"として生きて行こうね――?


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