青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 あどけない空兎の顔から、もう仙太は目が逸らせなかった。

 顔が、頭が熱くなっている。

 駄目だ! いけない!

 そう頭では理解できていても、火がついた感情は抑え切れないでいた。

 微かに動く空兎の唇が、誘っているのではないかと仙太を誤解させる。

 空兎が従妹ではなく、一人の女の子と意識してしまう。


 息が………乱れる。


 空兎が目覚める気配はない。

 仙太は、ゆっくりとその唇に、自分の唇を重ね合わせ───

(っ!)

 ようとした自分の横顔を殴った。グーで。

 自分自身による攻撃なので無意識な手加減はあるが、それでも、ヒリヒリと頬に感じる痛みは仙太を正気に戻すことができた。

「ごめん……空兎」

 二人きりのコインランドリーの中で、仙太は一人、小さく呟いた。


 クヲンが戻ってきたのは、それから数分後のことだった。




 洗濯したことでハットの臭いは大分とれていたので、空兎が自分の鞄に詰め込んで、三人はコインランドリーからジョーのアパートに向けて、移動を再開した。

 一眠りしてリフレッシュしたのか、夕暮れに差し掛かった曇り空の天候の割りに、空兎の気分は晴れやかだ。

 その一方、仙太は自己嫌悪に陥っている。先程の一件を尾に引いているようだ。まともに空兎の顔が見れない。

 出来ることといえば、恋人のように楽しく会話しながら並んで歩いている空兎とクヲンを、後ろから追うくらいだ。

 気分のせいか、仙太は二人の会話に参加したいとは思わなかった。むしろ今は放っておいて欲しい気分だった。特に空兎と言葉を交わす瞬間、一方的に気恥ずかしくなる自分が凄く情けなくなって、ますます自分に対する嫌悪感が増すからだ。

(……母さん、しばらく帰ってこないっていってたなぁ)

 母親が出張中のため、家に帰れば空兎と二人きりになってしまう。自業自得とはいえ、少し気が重い。


 仙太があれこれ一人悩んでいる間に、一同は、ジョーのアパート前まで来ていた。


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