青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 目標を発見した黒服二人組は、当然のように空兎達を追いかけ始める。

 そして懐から拳銃を抜き出して、躊躇なく発砲してきた。


 タァン!


 渇いた銃声と共に一発の弾丸が空兎のすぐ側の木の枝を吹き飛ばす。

 銃声や枝の破片が飛び散り、葉が顔に降りかかって思わず身がすくみそうになるが、立ち止まってはいられない。

 立ち止まれば負けるというのもあるが、それ以前に空兎は―――

「ねぇ! これって一匹見たら三十匹はいるってことかなぁ?」

「ゴキブリじゃあるまいし!」

 今、このスリルを目一杯楽しんでいた。

 次々に目の前に飛び込んでくる木を、空兎は跳ねるように体を捻ってかわしていく。

 軽やかでテンポのいいそのアクションは、やや斜め後ろを追いかけている仙太が思わず見惚れてしまう程だ。

 この危機的状況にも関わらずだ。

「もぅ、なんかいきなり遭遇なんて、あり得ない、あり得ない~~~!」

 嘆いているのでも、ましてや強がっているのでもない。

 心の底から空兎は笑っている。

 汗を飛び散らせ、長い栗色の髪を振り乱しながら手全力で走っている。

 背後より集中的に空兎を狙う弾丸にキャアキャア言いながらも、力強く大地を駆け続けている。

「いっそのこと、このノリでゴールまで全力疾走!」

 無理だろう、と仙太は内心で突っ込む。

 何せ自分達が今、どこを走っているのかわからない状態だ。

 だが、空兎の弾けた笑顔はどこかそんな無理が可能と思えてしまう。

 すると自分の頬が、少しだけ緩んできたことに仙太は気づいた。

(なんで、僕、笑ってるんだろ?)

 空兎の雰囲気に呑まれてしまったというしか言い訳ができないが、今はそれでもいい。

 仙太もひたすら足を動かし続けた。

 背後からの銃声の恐怖や、疲れはいつしか忘れてしまっていた。
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