青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§


 気がつけば、心臓が破裂しそうなくらいの脈動を立てている。

 なんとか追っ手を振り切った空兎と仙太は野太い木に背中を預けてへたり込んでいた。

 二人とも呼吸を整えるのに精一杯で、しばらくは会話がなかったが、やがて空兎が笑いながら切り出す。

「あはは……ホント、マジ、明日、筋肉痛になりそ」

「僕はすでに足がつってるよ……」

 仙太が渇いた笑いをすると、森に風が吹き抜ける。

 空兎は、「はぁ~」と、気持ち良さそうにその風を浴びて伸びをする。

 その姿に仙太は、また見惚れてしまった。


 トクン、トクン……


 と、走った後の高鳴りとは別の心臓が鼓動する。

(あぁ、そうか……僕は空兎のこの笑顔に惹かれたのか……)

 純粋で、全てを楽しんでいて、何もかもを受け入れるような笑顔。

 どんなに絶望的な状況でも希望をもたらしてくれるその笑顔が、理屈抜きで仙太は好きだった。


 恋……かもしれないけど、少し違うかもしれない。


 けど、仙太は空兎の笑顔をずっと側で見ていたい。

 純粋に今、そう思った。
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