青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「わかった。じゃあ、せめて僕が空兎をゴールさせる」

「え?」

 俯いていた空兎の顔が驚いた表情になって上がる。

「クヲンのようなお姫様抱っこはできないけど……おんぶくらいならできるから」

 仙太の申し出に空兎の顔がカッと赤くなる。

「い、いや、いいよ! てか、せ、セクハラはやめてよねっ!」

「は?」

「お、おんぶするついでにアタシのお尻を触るつもりでしょ! 自然な流れで!」

「なっ、なんでそうなる!?」

 仙太まで顔を赤くして抗議したその時、その場に楽しそうな笑い声が飛び込んできた。

 聞き覚えのある第三者の笑い声が空から……


 バサバサッ……


 鳥よりも大きな羽音が空から聞こえてきて、ほどなくして二人の前にその主が降り立つ。

「変わんないな、お前ら」

 漆黒の翼を背に、白銀の大鎌を手に持った銀髪の堕天使が。

「クヲン……」

 会いたくなかった、というのが今の仙太の正直な気持ちだった。

 いま一つ行動が読めないクヲンは、黒服たちとは違う畏怖を感じる。

「せっちん、ちょっと肩を貸して」

「あ、うん…」

 妙に声のトーンが低い空兎に戸惑いつつ、仙太はしゃがみ込んで空兎の腕を自分の肩に回して体を支えて、ゆっくりと立ち上がった。

「ありがと、せっちん」

 そう礼を言った空兎の顔は微笑んでいたが、クヲンに視線を戻すと若干、目つきが鋭くなった。

「ねぇ、クヲンくん……マリィはどうしたの?」

「ん?……この状況でそれを訊くわけ?」

「どうしたかって訊いているの!?」

 急に空兎が声を張り上げたことに、仙太、そしてクヲンも驚く。
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