青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
(うぅ……)

 その迫力に圧倒されてしまう仙太。空兎もテコンドーをやっていたせいか、笑みこそ浮かべているものの、今は普通の女子高生にはない迫力がある。

 クヲンに至ってはあの大鎌が有無を言わさない迫力と本能的な畏怖を与えている。

 ゆっくりと空兎の腕が仙太の肩から離れていく。戸惑いながらも何もできない仙太は空兎の様子を黙って伺うしかない。


 スー、ハー。


 目を閉じて、空兎がゆっくりと深呼吸をする。

 二度、三度繰り返した後、ゆっくりと目を開いた。特に構えはなく、自然体でつっ立ったままだ。

「お、おい、くう―――」

 仙太が声を掛けるよりも早く、クヲンが動いた。


 疾風となって空兎に迫る。


 それを見た仙太がまた空兎を押し倒して助けようと反射的に考えたが、


―――え?


 その前に空兎が仙太を突き飛ばした。笑顔と共に。

 そしてクヲンに向き直ると、左足を軸として素早く体を一回転!

 クヲンに向けて烈火の如き鋭い蹴りを繰り出した。

 仙太の目から見て、空兎の蹴り足とクヲンの大鎌の長柄は×の形で交差していた。

 しかし、空兎の蹴りはクヲンの顔面目前で止まり、振り下ろされたクヲンの大鎌は空兎の頭上直前で止まった状態で静止していた。

 まるでその場の時間が止まったかのように、二人ともその状態のまま動かない。

 尻餅をついている仙太は息を呑んだ。
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