青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§


 彼は従姉が入院している病院を訪ねる。見舞いだ。

 彼の姿を認めた彼女の顔が綻ぶ。

「来てくれたんだ」

「まぁ…な……」

 彼女の微笑みに彼は少し照れる。

 そんな彼を見て、彼女はクスクスと笑った。

「何、笑ってんの?」

「だって、変な顔してるから……フフフ」

 そう言った後、彼女はまた少し笑う。彼はどう反応していいか分からず、とりあえず彼女から目を逸らす。

 が―――

「ゴホッ! ゴホッ!」

 突如、彼女が咳き込んだ。彼の表情が一変し、彼女の側へと駆け寄る。

 突然の事態に混乱しつつも、なんとか思考が働き、彼はナースコールに手を伸ばす。

 だが、その手を彼女が止めた。

「だ、大丈夫……いつものことだから…」

 息も絶え絶えに、彼に微笑みを向ける彼女。

「でもよ…」

「大丈夫……だから…ね?」

「………」

 まるで、今、この時を邪魔されたくないと、彼女が言っているようだった。

 彼の手からナースコールが離れる。

「ありがと……幸ちゃん」

 もう中学生なのだからその呼び方はやめてくれ、という台詞を何度言っても彼女には通じないようだ。

 彼は苦笑するしかなかった。
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