青空、ハレの日☆奇跡の条件（加筆修正中）

　その数ヵ月後、彼が病院を訪ねたとき、彼女の容態は急変していた。

「早く！ ストレッチャーを！！」

　女性看護師に怒声のような指示を飛ばす医師。

　別の女性看護師が懸命に彼女の名前を呼びかける。

　その少し離れた所で彼女の両親がこの世の終わりのような顔で狼狽している。

　彼らに囲まれて、彼からは、彼女の様子が見えない。

　異様な光景に、彼は呆然と立ち尽くしてしまった。

　そこへ病室の前にストレッチャーが到着する。

「すみません！」

　ストレッチャーを運んできた女性看護師に、彼は突き飛ばされてしまう。

　その時、辛うじて彼が見えたのは、酸素マスクをつけ、虚ろな目をし、今にも呼吸が停止しそうな彼女の姿だった。

「！…………」

　彼は言葉を失った。ドラマのように名前を叫ぶこともできない。

　そして彼女は手術室に運ばれていく。

　彼女の両親がそれを追いかけるものの、彼は病室から動けなかった。

　まるで、金縛りにあったかのように……