青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 彼がやっと動けるようになり、彼女が運ばれた手術室前に駆けつけた頃、そこのランプはすでに消えていた。

 扉の前で深刻な面持ちの医者と、彼女の両親がなにやら話しているが、彼は近づけない。

 その会話の内容が……知りたくなかった。

 ふと、彼女の母親が彼に気づき、駆け寄る。彼はすぐにでも逃げ出したかった。

 彼女の母親から一番聞きたくないことを、聞かされそうだから。

 だが、例によって体は動かない。

 彼女の母親との距離がどんどんと近づき、やがてゼロになると、彼は彼女の母親から、やはり一番聞きたくない事実を聞かされた。

「嘘だ!」

 告げられた事実を、彼は否定する。

だが、それでも。


 現実が変わることはない。


 彼女が死んだという、現実は。


 しかし、彼には受け止めきれず、その場から逃げてしまう。

 そして、病院から出たところで、一人の男と出会う。

 その男は、慌しくタクシーから降りたところだった。外国人だった。

 彼を見るなり、その男はこう言った。

「君は……もしかして幸四郎くんか?」

 見た目とは裏腹に流暢な日本語。彼は直感する。

 この男が、彼女の婚約者だと。

 様々な感情が、心の奥底から湧き上がってくる。

 自制心で抑えるも、呆気なくそれは決壊した。

「うあぁあっぁぁぁぁっ!!」

 その結果、彼はその男を感情の赴くままに殴り倒した。
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