青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
しかし、灰山はそれに対しては何の感情も持たず、ただ目を伏せて、身じろぎ一つしないジョーを一瞥する。眠ってはいないようだが、何を考えているのか分からない所が不気味に思える。
そんな時、内ポケットに入れていた携帯通信機が震えた。部下からだとディスプレイに映る文字から分かると、手に収まるサイズのそれを耳に当てて回線を開く。
「なんだ?」
『今、降伏した天羽空兎をこちらに連れてきました』
「……どういうことだ?」
『降伏する代わりに、緋上ジョー達に会わせろという事です』
(バカが…)
それは空兎を連れてきた部下に向けられたものではない。
「……わかった。Bテント前で待たせておけ」
それだけ告げて灰山は通信を切った。
フゥと小さく溜息を漏らすと、後ろのほうで、「ふごっ、ふごふごふご」という奇怪な声が聞こえてくる。
猿ぐつわをはめられて、上手く喋れないジョーだ。
無理矢理喋ろうとする彼に嘆息しながら、灰山は彼の口にはめられている布を取った。
「いやぁ、ありがとうございます。これで腹話術の真似事しなくてもいいです」
「いや、出来てなかったし」
灰山が冷めた口調で返すと、苦笑いするしかないジョー。
「で、さっき何が言いたかったんだ?」
「……空兎ちゃんが、ここへ来るんですか?」
「……みたいだな。お前らが捕まったんで、降伏したみたいだ」
灰山の顔に勝ち誇ったものはない。ただ冷徹にジョーを見下ろしている。そのジョーが奥歯をギリッと鳴らした。
「…………」
「じゃあな。俺は今からそいつと会ってくる」
そう告げて灰山は踵返す。そして数歩進んだ所で、急に振り返り、ジョーに拳銃を突きつけた。
「妙な気、起こすなよ? あの娘が何で危険冒してまでここまで来たか、ちょっと考えれば分かるだろ?」
今にも立ち上がろうとしたジョーは、その言葉でピタリと止められた。
そして、ゆっくりとその膝を折って、元の体勢に戻る。
「……おとなしく待ってな」
それだけ告げると、灰山はテーブルに置いていたライフルを肩にかついでからテントを出た。
そんな時、内ポケットに入れていた携帯通信機が震えた。部下からだとディスプレイに映る文字から分かると、手に収まるサイズのそれを耳に当てて回線を開く。
「なんだ?」
『今、降伏した天羽空兎をこちらに連れてきました』
「……どういうことだ?」
『降伏する代わりに、緋上ジョー達に会わせろという事です』
(バカが…)
それは空兎を連れてきた部下に向けられたものではない。
「……わかった。Bテント前で待たせておけ」
それだけ告げて灰山は通信を切った。
フゥと小さく溜息を漏らすと、後ろのほうで、「ふごっ、ふごふごふご」という奇怪な声が聞こえてくる。
猿ぐつわをはめられて、上手く喋れないジョーだ。
無理矢理喋ろうとする彼に嘆息しながら、灰山は彼の口にはめられている布を取った。
「いやぁ、ありがとうございます。これで腹話術の真似事しなくてもいいです」
「いや、出来てなかったし」
灰山が冷めた口調で返すと、苦笑いするしかないジョー。
「で、さっき何が言いたかったんだ?」
「……空兎ちゃんが、ここへ来るんですか?」
「……みたいだな。お前らが捕まったんで、降伏したみたいだ」
灰山の顔に勝ち誇ったものはない。ただ冷徹にジョーを見下ろしている。そのジョーが奥歯をギリッと鳴らした。
「…………」
「じゃあな。俺は今からそいつと会ってくる」
そう告げて灰山は踵返す。そして数歩進んだ所で、急に振り返り、ジョーに拳銃を突きつけた。
「妙な気、起こすなよ? あの娘が何で危険冒してまでここまで来たか、ちょっと考えれば分かるだろ?」
今にも立ち上がろうとしたジョーは、その言葉でピタリと止められた。
そして、ゆっくりとその膝を折って、元の体勢に戻る。
「……おとなしく待ってな」
それだけ告げると、灰山はテーブルに置いていたライフルを肩にかついでからテントを出た。