青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§


 突然のテントの炎上。その赤熱の炎に釘付けになる空兎。

「あれ、セレビアさんの!」

 確信めいて叫んだ空兎が仙太の肩にまわしていた腕を解いて、テントに向かって走り出そうとする。―――が、突然出てきた灰山の足に見事に引っ掛かり、派手にスッ転んでしまう。

「っ!!」

「あっ!」

 とっさに空兎の元に駆けつけようとした仙太だが、それすらも灰山は許さない。

 拳銃を眼前に突きつけて威嚇する。

「動くなよ」

 たったそれだけなのに、あまりの迫力に仙太の体が凍り付いてしまう。

 それだけの殺意に満ちた眼光が今の灰山にはあった。その目を今度はクヲンに向ける。

「お前が対処しな。ただし殺すなよ」

 そう告げられたクヲン。俯いたままの顔が突然、不敵な笑みとなって上がる。

「嫌だ、って言ったら?」

 その返事に誰もが驚いた。灰山の眼光に鋭さが増す。

「お前、自分が何言ってるのか分かってるのか?」

「あぁ、ぶっちゃけ気がすすまねぇ。相手はあの魔法使いさんだろ? 疲れるんだよね~」

 ふざけているのか、小馬鹿にしているのか、わざとらしく自分の肩を叩く仕草をするクヲン。

「あの悪魔の娘はあそこにいる」

 灰山は後方のマリィが捉えられているテントを指した。

「……この意味が分からねぇか?」

 冷酷な目で警告する灰山。クヲンは一瞬、その目に近い目になってかと思うと、口元が綻び始める。

「フフフ……」

 零れる笑い。それが次には高笑いへと変わった。

「ハーーッハハハハハ!! ………俺があの天然娘のために、あんたらに利用されてるって、本気で思ってるのか?」

 思いもよらないクヲンの言葉に、空兎と仙太は衝撃を受けた。灰山が黙ったまま睨み続ける。

 その灰山を真っ直ぐに捉えたまま、クヲンは続けた。
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