青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「ま、俺の本当の計画に気づかれないようにするためには、そう思わせる必要があったけどな」

 そう、ニヤリと、勝ち誇った顔をする。

 灰山は仙太に向けていた拳銃をクヲンに向けた。空兎と仙太を囲んでいた黒服たちも一斉にクヲンに銃口を向ける。

「お前の計画だと?」

 灰山が尋ねる。

「決まってるだろ? “奇跡を起こせる宝”……“神杯”を俺自身が手に入れることさ」

 言った後、背中から黒い翼をゆっくりと広げるクヲン。

「この、黒い翼を元に戻すためにな……」

 クヲンの表情からはいつの間にか笑みが消えていた。

 空兎と仙太が、呆然とそれを見つめている。

 でも二人とも何も言えないままだった。

「ほぅ、随分と手前勝手な天使だったんだな、お前」

 灰山が鼻で笑う。

「へぇ、じゃあ、あんた達の叶えたい“奇跡”ってのは違うのかい? 誰かのためってか?」

「………だとしたらどうする?」

 灰山の返事にクヲンも鼻で笑った。

「誰かのためって言っても、結局は自分のためなんだよ。たった一つしかない“奇跡”なんだから、どんな理由があっても叶えられない奴にとっちゃ、そいつの理由はそいつの手前勝手みたいなもんさ」

 悟ったかのように笑うクヲン。その言葉に空兎は保健室でのクヲンの言葉を思い出した。

(でも……それって別に悪いことじゃないんだよね……)

 それでも空兎は複雑そうな面持ちで地面の土を握りつぶした。
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