青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 そんな中、灰山がクヲンに歩み寄り、拳銃を頭に押し付ける。

「………何故、今になってそれを話す?」

「チャンスだと思ったからさ。本当ならあんた達が“神杯”を手に入れた所を横から掠め取る気だったが、意外と時間かかりそうだしな。しかも、この勝負でかなり疲弊していた。それなら、これから俺一人で探したほうが早い気がするんでね」

「大した自信だな。今のこの状況分かっているのか?」

「お前らこそ、分かっているのか?」

 クヲンが余裕の微笑みを見せたその時、炎上しているテントに異変が起きた。

 何人もの医者が慌しく出てき始めたかと思うと、彼らがすぐにテント内に吹き荒れた突風によって一斉に飛び出してきた。

 その光景に一同が注目する中、一人の女性が出入り口から姿を現す。

 気だるそうに金色の後ろ髪を掻き上げながら、その女性、セレビアは炎上するテントをバックに悠然と立った。

「これまた……随分と面白い状況ね」

 この場にいる空兎と仙太、そして灰山や黒服たちに銃を向けられているクヲンを見たセレビアの率直な感想だった。

「説明してくれるかしら?」

 セレビアの言葉と目は、クヲンに向けられていた。

「嫌だね。めんどくさい」

「生意気な子ね!」

 セレビアの右手に稲妻が迸る。それを見て仙太が脂汗をかき始めるが、セレビアは気にすることなく、天に人差し指を突き上げて魔法を唱えた。

「ドキュン!」

 凛と響いたその声と共に仙太は耳を塞いでその場に身を伏せた。ほぼ同時に雷鳴が轟くと、その身がガクガク震える。

 しかし、セレビアの狙いは空兎や仙太ではない。

 一見、規則性なく、広範囲に連続して落雷を起こしているセレビアだが、ちゃんと狙うべき相手は自覚して起こしている。


 つまりは、セレビアにとっての敵だ。
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