青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「こいつは派手だな!」

 クヲンは誰よりも早く翼を羽ばたかせて回避行動に移った。落雷を悉く回避していく。

一方、黒服たちも落雷から逃れようとするが、矢継ぎ早に落ちてくるそれからは難しく、次々に感電しては倒れていった。

「やっぱ、セレビアさんってすっごい……」

 空兎が素直に感嘆したその時、あることに気づいて目を見開く。

 つい先ほどまで背中にピッタリとくっ付いていた気配が、今では完全になくなっていることだ。

 慌てて後ろを振り返ると、その気配の主の姿は見えない。すぐに周辺を見回すと、思いの外すぐに見つかった。

 彼は落雷を巧妙に駆け抜けながら、間もなくその範囲外に出ようとしている。そしてそのままこの場から撤退すれば問題はないのだが、空兎は彼が手にライフルを持っていることに気づいた。

 空兎の予想通り、彼―――灰山は、おおよそ落雷の範囲から出るとライフルの銃口をこちら側に向けてきた。


 おそらく狙いは―――


(セレビアさん!?)

 セレビアに危険を告げるよりも先に体が動いた。全身がバネのようにしならせ、大地を全力で蹴りつける。

 転げそうなんて、考える余裕はなかった。

 ただただ、ライフルから飛んでくる凶弾とセレビアとの間に立てればとしか頭になかった。………いや、それすら考えになかったのかもしれない。

 気がつけば、感情が体を動いていたというのが、一番近いだろう。

 そして、それは―――

「え? せっちん?」

 仙太も同じだったようだ。

 空兎とライフルの弾との間に、その身を割り込ませた。

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