青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「そんじゃ、俺は行くぜ」

 そう言いながらクヲンはルミネがいるテントに目を向けた。この場所から離れてはいるが、空からではその位置がまる分かりだ。

「バイバイ」

 クヲンは翼を羽ばたかせて、そこへ向かって飛び去った。セレビアは一瞬、炎の弾丸で撃ち落そうかと思ったが、傷が予想以上に痛んだ。

「………結局、堕天使くんの一人勝ちね」

 半ば諦めたかのようにうな垂れるセレビア。

 しかし、空兎がそこで叫ぶ。

「まだ終わってないよっっっ!!」

 特に耳元で叫ばれた仙太は心臓が跳ね上がった。

「こんな終わり方、やっぱスッキリしないっ! アタシ、クヲンくん、追っかける!」

「お、追いかけてどうするの?」

 仙太が尋ねると、空兎は言葉を詰まらせる。どうやら衝動的な発言だったようで、実は何も考えていなかったようだ。

「あのなぁ、空兎。いつも思うんだけどそういった考えなしの発言は止めた方が―――」

「お、鬼だからっっっっ!!」

 たしためようとした仙太の耳元で、またも空兎が叫ぶ。

「み、耳元で叫ぶのも止めようよ……」

 しかし、空兎はそれには聞かずに続ける。

「アタシが捕まって、今、鬼だからよ! 鬼ごっこは捕まったら鬼が交代するってのが常識でしょ!」

 空兎の必死の形相。色々と、突っ込みたい部分はあるが、それをしてはいけない気がした。

「それも……そうだな」

 柔和な笑みで返す仙太。空兎の表情に笑顔が咲いた。

「よぉーっし! また全力疾走!」

 ガッツポーズして気合を入れる空兎だったが、仙太はここで一つ告げておく。

「その前にマリィさんを助けなきゃね。あのテントにいるみたいだし」

「あ、そっか」

 ガッツポーズのままキョトン顔になる空兎。それからすぐにテントに向かって走った。そんな空兎を仙太は、「足痛くないのかよ……」と、少し呆れながら見送った。
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