青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 テントに突入した空兎が、まず最初に目にしたのはマリィではなく、猿ぐつわをされていたジョーの姿だった。

 空兎は手間取りながらも縄を解いて、ジョーの口を塞いでいる布を取った。

「いやぁ、助かりましたよ。すみません、捕まっちゃって」

「ドンマイ、ジョーさん! しっかし、マリィったら、外であんなにバチバチ騒がしかったのにまだ眠ってるなんて、ある意味すごっ!」

「相当激しい戦いだったようですね。それにしても、空兎ちゃん大丈夫なんですか?」

 ジョーに訊かれると、空兎は自信たっぷりに己の胸を叩いた。

「もっちろん! ピンピンしてるよっ!」

 だが、ジョーはその言葉を疑っているかのように心配している表情を変えない。

「でも、その血…凄いですよ?」

「え?」

 その言葉に、空兎は背筋にゾクッと冷たいものを感じた。

 血?

 自分はそこまで出血した覚えはない。

 嫌な予感を尾に引きながら、空兎は自分の胸を叩いた手を見る。微かだが赤いもの……血らしきものがついている。次に恐る恐る自分の胸元の服を引っ張って視線を落とす。

 見えたのはベットリとついた真っ赤な鮮血だった。

「これって……」

 頭が真っ白になり、呼吸が一気に乱れる。

「せっ…っちん」

 脳裏に数分前の光景が蘇る。

 灰山のライフルに撃たれた光景や、セレビアの雷に驚いて思わず抱きついてきた光景。

 ぶわっと、目に涙が溢れると同時に、空兎はテントから飛び出した。

「せっちんっっっっ!!」
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