腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
言い聞かせるように優しく諭され純は眉をしかめる。ここで頬を染めない辺りが彼女である。


「……振り込みって、相手が約束を反故したらどうするんですか。顔も見えないのに……」

「ああ、たまにあるね」

「ほらやっぱり!腹が立たないんですか!?」


別に自分のことでもないのに憤慨する彼女が可笑しくて、泉流はくすくす笑った。そして意味深な笑みを浮かべたまま言う。


「僕がただで済ますと思う?」

「いえまったく」


純は迷わず即答した。そういえば、この男は人のプライバシーを逆手に取るような極悪人だ。そんな奴がみすみす相手を許すだろうか?いやない(反語)。


「君、何か失礼なこと考えてない?」

「あ、いえ、ただ……その人たちは事前にあなたの性格を知るべきだったなと。あれですね、ほんと御愁傷様です」

「………」


両目を右手で覆って溜め息を吐く泉流を見て純は首を傾げる。はて?自分は何かおかしなことを言っただろうか。

きょとんとする純に対し、泉流は深呼吸してどうにか気持ちを落ち着かせていた。
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