舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「あ、ここでいいです」


いつの間にかアパートの近くまで来ていて、運転手さんに声をかけた。


高校を卒業してから一人暮らしを始めたアパートは、新築だったけれど1Kの狭い部屋だった。



「ここに住んでんの?」


「うん」


「部屋の前まで送る。運転手さん、少し待っててください」


私の返事を聞かずに怜音は私の背中を押してタクシーを降りた。


花束をバサッと肩に乗せて、『どこ?』と私に聞いてきた。


私の部屋は2階の一番奥の部屋。


ロックを解除する間、怜音が後ろにいると思うと、少し手が震えていた。


階段を上って一番奥の部屋の前に着き、怜音を振り返った。


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