かさの向こうに縁あり
「こうして会えるなんて、京は狭いね……いや」



そう言って途中で言葉を止める。


平助は空を見上げた。

どこか嬉しそうに、微笑んで。



「妃依ちゃんと俺が、どこかで繋がってるのかもしれないね」



私の中で、一瞬時が止まった。


平助が言ったことに驚いて、無意識に胸が跳ねる。


確かに私達は、広い京の中で偶然出会うことばかりだ。


一度目は、三人の男性に襲われた時。

二度目は、平助が屯所からいなくなった私を探していた時。

三度目は、さっき。


きっと何かで繋がっている――


そう思っても不思議はない。


それに……

そうであってほしいと、私はふと思った。



「妃依ちゃんのことを知りたいし、ちゃんと話してみたいんだ」



彼の言葉にはまだ続きがあった。


でもそこではっとしたのか、空を見上げるのをやめて、地面を見ながら頭を掻く。



「……なんか変だな。ま、気にしないで!」



そう言って、平助は残っていた最後の団子の一欠片を口に入れた。



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