かさの向こうに縁あり

訳の分からぬまま、私はこの江戸時代の武士の格好をした人達に滅多刺しにされて死ぬんだ。


一体ここはどこで、いつで、どうして……そんなたくさんの疑問が頭を過ぎる。


そして頭上に刀が落ちてくる。

徐々に徐々に、危険が身に迫ってきているのが分かる。



刀が頭上を過ぎた時、私はもうこの世の者ではなくなるんだ。



それがきっと、運命なんだ。



拳をぎゅっと握り締め、決意をして静かに目を閉じた。




ーーそんな時だ。

私の耳に凄まじい金属音と砂利の上を勢い良く滑る音がしたのは。



「ーー何してるのかなぁ、貴方達は」



驚きのあまり目を開ける。

その時目の前には、襲ってきた男性とは別の男性の背があった。


私を、きっと助けてくれたんだ。

おかげでこうしてまだ生きている。



「お前は誰だ！」


「名前なんか言っちゃっていいのかなぁ。驚いちゃうよ？」


「何でもいいから早く名乗れ！」