かさの向こうに縁あり
平助が、優しすぎるからだ。


いつでも私のことを思ってくれている。
気にかけてくれている。


私をこの新選組の屯所に連れてきたことへの責任があって、そうしているだけだと言われれば、それまでだけれど。



ーーでもいいや。

今はあまり深く考えないでおこう。


今考えたところで、すぐに結論は出ないはずだから。

特に、今まで恋愛をほとんどしてこなかった私のことだから……



ふう、と息を吐く。

無理矢理、落ち着きを取り戻させる。


まだ調べることがある。

次に、百人一首のあの一句の初句を入力した。


“これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関”


その初めの5文字を。


これも出てくるだろう、と予想したら、やはりちゃんと検索できた。

検索結果を詳しく見てみる。


今度は文字数が多いから、特に驚きも何もしない。

小倉百人一首の十番目、作者は蝉丸、と書いてある次に、解釈が丁寧に載っていた。



『これがかの有名な逢坂の関だ。旅立つ人も帰ってくる人も、知っている人同士も知らない人同士も、ここで出会って別れると言われている。』


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