君はガラスの靴を置いていく
それから暫くして俺は暑い外へと出た。ここら辺は住宅街だからか余計に暑さが倍増してる気がする。風も通らないし。
ジリジリと反射するコンクリートを歩き、駅に着く前に前方から千花の姿が見えた。
住所をメモった紙を片手にキョロキョロとしている
『-------------千花』
そう呼ぶと千花は安心したようにこちらへ走ってきた。サンダルとビニール袋の音を交互にして。
『………ハァ……宮澤君。ごめん、遅かったかな?』
今日の千花の洋服は白いシフォンのワンピース。
勉強道具が入っているのか若干大きめのバッグを肩から掛けていた。
『……フッ、汗かいてる』
俺は乱れた千花の前髪を触った。
『あ、今走っちゃったから……』
『うん、わざわざごめんね。行こっ?』
俺は空いている千花の右手を引き、そのまま手を繋いだ。なんか近所にこうして千花が居ると変な気分
『わ、私の手、ベタベタしてない?』
『んー?してないよ。ってかそれ何?』
最初から気になってた左手の袋。
『さっき駅前でアイス買ってきたの。この前宮澤君おごってくれたからそのお礼に。家にもお邪魔するし……』
千花はやっぱり今までの女とは違うな。家とかズカズカ上がり込んでくる奴ばっかりだったし。
『そんなに気遣いしなくていいのに。でも有り難う。後で一緒に食べよ』
そんな会話をしてる内に家へと着いた。