年上の男
と、言っても小さなコンビニだからそんなに混むわけでもなく。
もうすぐ11時なろうかと言うときに、お客さんが一人入ってきた。
「柊子ちゃん、お客さんが帰ったら、帰っていいから」
「あ、はい」
「送らなくて大丈夫かね?」
「平気ですよ」
本当はちょっと怖いけど、仕方ない。
おじさんがいなくなったら、お店は閉めるしかなくなる。
「すみませーん」
お客さんに呼ばれ
「私が行きますね」
作業をしているおじさんにかわって私が対応する。
「お待たせ・・・しました」
お客さんを見て驚いた。
「880円になります」
「あ、はい・・・・・・あ?」
その人も私を見て驚いた。
「藤崎さん?」
「はい。矢崎さんですよね?」
「はい。何してるの?」
「え・・バイトですけど・・・」
「こんな時間に?」
「ええ・・・ここおじさんのお店で・・・交代のバイトの人がちょっとこられなくなったので代わりに」
「そう」
袋に品物を詰めながら話をする。
「矢崎さんは、今帰りですか?」
「ああ、今日はちょっと遅くなってね」
「そうですか」
「120円のおつりになります」
「ああ、ありがとう」
「あ、温めますか?」
「いや、このままで」
「はい」
「まだ終わらないの?」
「いえ、もう終わるので、帰ります」
「あ、そう、わかった。じゃ」
「あ、ありがとうございました」
矢崎さんは、そのまま店を出て行った。