雪月花~死生の屋敷
ユキちゃんは私の為に、あの迷彩服の男を倒したのだ。だってユキちゃんの力があれば、迷彩服の男など怖くはない。

ユキちゃんは多分かなり強い。迷彩服の男など眼中になりくらいに…なのにわざわざ倒した理由は、私の身の危険を感じたからに違いなかった。

ユキちゃんはともかく、私は絶対に霊魂に勝てない。物理的な攻撃が無意味だと色武さんが言っていたし、あんな怖い男を前にしたら、私はまた動けなくなってしまう。

実際動けなかったし…。

「おねぇちゃん大好きだから助ける。普通だよ…」

「私もユキちゃんが大好きよ」

そして私は、ユキちゃんを抱きかかえると、前に進みだした。

霊魂の世界である雪月花。その中で私は、かけがいのない出会いをした…。

色武さんとユキちゃん。人間の世界と同様にこの霊魂の世界でも、良い人と悪い人が混在していた。

目の前には無限に広がる螺旋状の道。

でも出口はきっとあるはず。私はユキちゃんを信じる。

だって私を助けてくれたから。

この道の先に孝也が居ると信じ、私はこの雪月花を生きて行く。
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