雪月花~死生の屋敷
当時の私…孝也と出会って会話をして仲良くなった頃の私。

「孝也君っ!」

中学3年生の頃、廊下で見つけた孝也に私は話しかけた。

「どうしたの成海?そんなに慌てて…」

孝也は騒がしい私に少し苦笑いを浮かべながらも、足を止めてくれた。

「うんとね…ちょっと聞いてもらいたい事があるの」

「聞いてもらいたい事?もしかして竜也の事かい?」

孝也がズバッと言うもんだから当時の私は凄く慌ててしまった。だって他の人がいっぱい居る中で言うもんだから、露骨に驚いてしまった。

「やっ…その。そんな大きい声で言わなくても…」

「あぁ…ちょっと無神経だったかな」

孝也は頭を掻きながたら苦笑いをし、そんな孝也を見て私も苦笑いを見せてしまう。

「解った…成海は俺にどうしてもらいたい?俺で良かったら何でも協力するよ」

孝也はいつもの優しい表情で私に言ってくれた。そして私もそんな孝也の優しさに甘えてしまう。

私は孝也に協力してもって、竜也君に告白しようとしていた。この頃の私は、自分に自信が持てなくて、竜也君の好きなタイプの女の子になろうと考えていた。

だから私は竜也君の趣味や好きなタイプの情報を、孝也から得ようとしていたのだ。

そして孝也は、私に竜也君の事を教えてくれたんだ。好きな女の子のタイプは本人もはっきりしてないらしくて解らなかったけど、趣味とか好きなゲームとかを教えてもらったの。

孝也は私にとても優しかった。というよりも根が優しいのか、どんな人にも優しい人だった。だから私が特別だとか自惚れた事なんて考えもしなかった。

助けを求められたら助ける。それが孝也にとっての普通なんだと思っていた。

そんな孝也だからか私は、すぐに仲良くなった。話しやすいし、私の嫌いな下ネタとかも決して言わないしね。
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