ゴーストシステム
セナは耐え切れなくなった。
悲しみの渦巻くこの場所を飛び出した。

雨に打たれるとすぐにずぶ濡れになった。
まるで秀人が泣いているように感じた。

「秀人・・・泣いてるの・・・?私も悲しい・・・寂しいよ・・・」

セナは声を上げて泣いた。

「まだ水族館行ってないよ・・・映画だって見に行ってないよ・・・お願い・・・私を置いてかないで。一人にしないで・・・」

雨の音が泣きじゃくるセナの声を消していた。
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