ノイズ
一年生の教室は四階にあった。


朝から四階まで階段を掛け上がるのは苦痛きわまりなかったが、今はとにかく時間がない。


気合いを入れて、階段を数段飛ばしながら上っていくことにする。


背後が気になったが、どうしても振り返る気にはなれなかった。


ひたすら階段を上って担任の杉浦先生より先に、自分の教室に滑り込むことだけに集中する。


とにかく、急いで教室に行かないとヤバイよね。


杉浦先生とはさっき沙織の話をしたばかりなんだし、遅刻のことも多目に見てくれるといいんだけど。


階段を何とか掛け上がり、ようやく一年生の教室が並んでいる四階までたどり着いた。


さすがに息が切れた。


立ち止まって暫く呼吸を整える。


その時だった。


いきなり背後から伸びてきた手が、可奈の肩を触った。

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