ノイズ

歯医者に行ったことは覚えているが、それ以後の記憶が全くないらしかった。


沙織を見ると、顔色があまりよくない。


早く何処かで休ませた方がいいだろう。



「…お水……飲みたい…」



「水が飲みたいの？」



沙織が弱々しく頷く。



確か家の冷蔵庫に買い置きのジュースが入っていたはずだけど、もしかしたら文也が飲んでしまったかもしれない。


もう一度病院に戻って、冷たい飲み物を買った方がいいだろう。


可奈は沙織と一緒に再び雛森総合病院へ戻ることにした。


正面入口から病院内に一歩入ると、エアコンの冷気が体を包む。


沙織を中央ホールのソファーに座らせると、売店の自販機で清涼飲料水を買ってきた。