ノイズ
敬虔なクリスチャンであるが故に、彼女はあれほどの苦痛と辱めに耐えることが出来たのだろうか。





それは、純粋な信仰心がもたらした神の恩寵なのか。






いや、愚かで頭の弱い人間だからこそ、あのような状況では神にすがるしかなかったのだろう。






有栖川教授はそう結論付けると、満足気に頷いた。






やがて『殉教』の映像が終了した。






有栖川教授はゆっくり目を閉じると、映像作品の余韻を楽しむようにロッキングチェアを静かに揺らした。






「沢村くん。今日は久しぶりに彼女に会ってこようと思う」





「それはいいですね。彼女も1人では寂しいでしょうから、教授のご訪問を心待ちにしてると思います」






「うむ。沢村くんすまないが、テーブルを片付けておいてくれたまえ」







「はい。承知しました」





有栖川教授は立ち上がり、奥の書斎に向かった。



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