an alley cat
―むくり。



私はその場に起き上がる。

ぐーっと前足を伸ばして、伸びをした。




―あれ?


私は何をしてたんだっけ。

寝ぼけたままの頭をフルに使って、冬真くんを待っていた事を思い出した。

なんだ、結局今日は会えなかったんだ。

私は何も無いバス停で、1人欠伸。



雨はいつの間にか止み、時刻はお昼を回っていた。


お腹減ったなぁ、私はバス停を後にし、繁華街へと向かって歩く。








「いらっしゃいませー」


「ご昼食に中華はいかがですかー?」


「はーい、こちら1000円以上お買い上げのお客様に、お好きなドリンク、1つお付けいたしまーす」


お昼の繁華街は賑やか。


あちこちでお店の宣伝。


行き交う人々はきらきらきらきら。





私はあるお店の前で立ち止まった。


―≪HAPPY CLOVER≫



そう書かれた看板を見上げる。


≪HAPPY CLOVER≫はカフェのお店。

人気があるのか、いつもお客さんが絶えず出入りしている。



「あら、猫ちゃんこんにちは、お腹が空いたの?ちょっと待っててね」

お店の中から、1人のお姉さんが出てきた。



「はい、どうぞ、いっぱい食べてね」

この人は≪HAPPY CLOVER≫の看板娘、恋(れん)さん。

恋さんはお母さんのお店を手伝っている、20歳のお姉さん。




「また来たのかい?」

恋さんのお母さんです。


「うん、可愛いよねー本当によく懐く猫だし」

恋さんは私の頭を優しく撫でた。

「可愛いのは分かるけど、ちゃんと仕事しなさいよ」

おばさんは、苦笑い。

「あ、いっけない!」

恋さんは頭を掻くと、お店へ駆け足で入っていった。




おばさんは、シワを作りながら笑った。


「ミー」

―「ありがとう」



・・・ってそう言っても伝わらないよね。


「じゃあ、またおいで」




おばさんはそう言うと、店の中へ入っていった。

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