an alley cat
―金曜日。





「おはっよーのの♪」

「ののー会いたかったよぉ」

「昨日会ったじゃん」



教室に入ってから、真っ先に挨拶してくれたのは、



「今日花見楽しみだ~♪」

嬉しそうに笑う千夏ちゃん。


「誰誘った?」

携帯をいじっている華夜ちゃん。


「知らん、ケンがみんなにメール送ってるらしいけど」

今日もクールな安奈ちゃん。






「お花見、ってどこでやるの?」



「ののは知らないか、学校の裏、坂道上ってたとこなんだけど」

「大きい桜の木があって、ちょうど今週辺りが見頃なんだよ、ねぇ安奈!」

「うん、綺麗だよ」



3人の話聞いてたら、早く見たくなっちゃった。


「楽しみ」


私が笑うと、3人も嬉しそうに笑った。









―3時間目は体育。




「ののー!一緒にやろ」


そう言って、私の髪を引っ張ったのは千夏ちゃん。



「うん」






「1つ聞いていー?ののって彼氏いんのー?」


準備体操をしている途中、千夏ちゃんがそう尋ねた。


「彼氏!?」

「驚くとこ?」

驚く私に、千夏ちゃんはくっくっと喉を鳴らして笑った。




「い、いないよ・・・出来た事もないよ」


―今まで猫だったしね・・・。



「ふぅん、そっか」


千夏ちゃんは「なるほど」と頷いた。


「ち、千夏ちゃんはいないの?」


「あたし?」




千夏ちゃんは少し困った顔で笑って、


「まぁ、いるんだけど・・・」


と、小さな声で言った。




「い、いるんだ!」

「は、恥ずかしいな!」



そう言って顔を隠した千夏ちゃんは、なんだかいつもより小さく見えた。




< 30 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop