an alley cat
「おせぇっ!」

「何してたんだよ?」


と、口々に怒鳴る。




「悪いって、んなことより猫!猫ねこ!猫が、川っ!猫が溺れ?ててさ!」



「はぁ?何言ってんだお前」

「落ち着け、ブレイクブレイク」

「猫が何だって?」



1人、2人、と私を抱えたままの男の子に近付いてくる男の子達。




「あーっ!!分かんねぇ奴らだな!だからっ、猫が!川で!お・ぼ・れ・て・た!」



「猫が!?」

「はぁ?」

「で、どうしたんだよその猫」

「猫!?」

「ん?何て?」

「猫が溺れてたんだってよ?」


6人が一気に喋る。



「うるっせえなお前等!見りゃ分かんだろ!ここにいんじゃん!」



男の子は腕に抱えられたままの私を指差した。



「え、ここって・・・ちっさ!」

「黒いから分からねぇよ!」

「ってか、震えてんじゃん」

私を見て驚く。



「冬真、俺ん家来いよ、たぶん親父が診てくれるだろうから」

1人の男の子が言った。

「あ、そうじゃん!龍斗の親父獣医だったもんな!」





とうま、と呼ばれる男の子。

りゅうと、と呼ばれる男の子。





この2人のおかげで、私の人生は大きく変わる事になった。


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