an alley cat
「んじゃ、俺等先帰るわ」

とうまくんが4人の男の子達に手を振り、


「わーった、じゃあな」


ボールを手にした男の子が、とうまくんとりゅうとくんに手を振り返した。





「なぁ、その猫どっからきたんだ?まだこんなに小さいのに」

りゅうとくんが私の頭を撫でる。



「さぁな・・・親猫と逸れたんじゃねぇのか?」

とうまくんが心配そうに私の顔を覗きこんで。





「とにかく急いだ方がいいかもな」

「ん」















「ただいまぁ」

「おじゃましまぁす」



ここはりゅうとくんの家らしい。

家の外には≪市瀬動物病院≫という看板が建っていた。



「何だ、今日は早かったなぁ龍」



奥から人が出てきた。



「父さん」


―父さん、りゅうとくんのお父さんですか。




「父さん、仔猫が川で溺れてたんだと、診てやって」

「何?仔猫が?」


りゅうとくんのお父さんがそう言うと、とうまくんが私を腕から離した。




「黒猫かぁ、小さくて可愛いなぁ・・・って言ってる場合じゃないな」





そう言って、私はりゅうとくんのお父さんに抱えられ、奥へと連れて行かれた。


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