an alley cat
―何をされるんだろう?





意識が朦朧とする中、頭の中に、とうまくん、りゅうとくん、りゅうとくんのお父さんの会話が入ってくる。




「この子、仔猫なのに生命力が強いみたいだな」

「んじゃ、死なない!?コイツ」

「まぁ、死ぬまではいかないだろうな、でも親猫がいないんじゃあな・・・」

「川で死ななくてよかったなぁお前」



「しばらくは面倒を見たほうがいいかもしれん」






それから一週間、暖かいミルクに暖かい毛布をもらって過ごした私は、一週間前までの弱々しさは、嘘の様に元気になっていた。




私は今、冬真くんの家でお世話になっている。



「クロ!今日も元気か?」


「ニャァ」


私は「うん」と冬真くんの足に体を摺り寄せた。


「つか、お前本当によかったなぁ、俺に見つけてもらって」

冬真くんは笑って言います。


「ミィ」


「そうだね」と私も尻尾を緩く振る。







―「クロ」というのは、冬真くんがつけてくれた名前。









一週間前、


「コイツ俺が面倒見てもいい?」

「冬真、小さいうちはすっげぇ大変らしいぞ?」

「大丈夫だよ」

「死んだ、なんて事があったら元も子もないぞ?気をつけろよ」

「よぉし、お前今日から“クロ”な!」

「ありきたりすぎるだろ!お前ネーミングセンスねぇなぁっ」

「うるせぇなぁ!いいんだよクロで!」

「ったく・・・」

「クロ!俺は冬真な!冬って字に真・・・ま?説明できん!んと、こういう字だ!」

「馬鹿かお前」

「うーるーさーい!このうるさいヤツは、龍・斗!」

「うぜぇ・・・」



そんな2人の言い争いを聞きながら、私は笑っていたんだよ。




そんな感じで、私に「クロ」という名前がついた。










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