私こそ光る☆君~グランプリ編~
「嘗めるな」
必死の説明がピシャリと撥ねつけられた。
いつものオカマ口調が嘘のように、たくましい男性の声に見合う話し方に変わっている。
「今ここで頑張らなくてどうする?
もう少し回りを見れるようになって、自信をつけてからだ?
甘ったれるんじゃない。
世の中、このグランプリに出たくても出られない、ましてやデビューさえもままならない人間がたくさんいるんだ。
それをお前は……。
目の前に転がっているチャンスをどうして生かそうとしない?
餓鬼の頃の考えなんざたかが知れてる。
分別なんて年寄り臭いもんは後でいくらでも考えられる。
餓鬼は餓鬼なりに一生懸命突っ走ってりゃいいんだよ」
決して荒立っていない。
低く穏やかに、しかし激しい思いの込められたその声は胸に強く木霊した。