私こそ光る☆君~グランプリ編~



「嘗めるな」


必死の説明がピシャリと撥ねつけられた。

いつものオカマ口調が嘘のように、たくましい男性の声に見合う話し方に変わっている。



「今ここで頑張らなくてどうする?

もう少し回りを見れるようになって、自信をつけてからだ?

甘ったれるんじゃない。

世の中、このグランプリに出たくても出られない、ましてやデビューさえもままならない人間がたくさんいるんだ。

それをお前は……。

目の前に転がっているチャンスをどうして生かそうとしない?

餓鬼の頃の考えなんざたかが知れてる。

分別なんて年寄り臭いもんは後でいくらでも考えられる。

餓鬼は餓鬼なりに一生懸命突っ走ってりゃいいんだよ」


決して荒立っていない。

低く穏やかに、しかし激しい思いの込められたその声は胸に強く木霊した。


< 7 / 206 >

この作品をシェア

pagetop