あのころ、グラフィティ
「マジ、先輩。ふっくんに言いつけますよ?」

「えっ、言えばー。福なんてこれっぽちも怖くないよ!......いいからその手を離さんかい!」


たまちゃんは里沙の手をオレから離した。

「マジ腹立つ!!」

「うっさいデブ!家にさっさっと帰れ!」

「デブじゃないんすけど!!」

「どっからどう見てもデブじゃない!四方八方デブじゃない!」

「ありえないあんた!」

「ありえないブス!!」

「っ!?...覚えてろよ」


里沙は中指を立てて、去っていった。
途中、真ん中で固まってるデブ軍団に蹴りを入れて、違う男に話しかけていた。



「たまちゃん、ありがとう。助かった。」

「あいつ香山里沙(コウヤマリサ)でしょ?...前から嫌いなんだよねー。」

「性格悪いしね。」

「ほんっと!中身最悪!今度なんかあったら、メッタメタのボッコボコにしてやんぜよ!」


「メッタメタのボッコボコって......ところで、マコちゃんは?」


たまちゃんは、動きが止まって、頭を下げた。

もしかして、他の子に取られてしまったのか...いや、たまちゃんに限ってそんなことはない。

オレは声をかけた。

「たまちゃん?」

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