あのころ、グラフィティ
しばらく、
このやり取りが続く。



そのとき、後ろからあいつの声。



「父さん、手伝うよ。」

「貫、帰ってたのか。」

「うん。...あ、こんばんわ。」


『八百花』のおじさんと桜ねぇに軽く会釈をする。


「...桜ねぇ。お茶持ってこよっか?」


そう言うと、湯のみを持って行く。


「あんたとは大違いだね。」


くっそ!
オレだって、オレだって!!


「オヤジ、オレも握る!!」

そう言って、オヤジのマネをして寿司を握るが、これがこれが難しい...


やっとのことで握った寿司を、桜ねぇの目の前に出す。



「...ねぇ、ボロボロじゃん。」

「いいから食えよ!味には自信あんの!」


桜ねぇがオレの作った寿司を食べた。


目を丸くして、キラキラした目でオレを見た。



キタキタキタキタ!
キマシタ!

旨いか?旨いだろ!?


「福...

あんた、これ......






かっらぁぁぁぁぁ!!」


桜ねぇは、口から吐いた。


「わさびっ、ゴホゴホ...いれ、、すぎ!」

水とお茶を交互に飲む。

目からは涙が出ている。


「福、わさびどれくらい入れたんだよ!」

オヤジが言った。

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