CAPTORS
「後ろからがダメなら前しかないだろ。大丈夫、レイスはお前くらいなら軽々と抱きかか……」

「たいちょー!オレおんぶがいいな!」

彩十が言い終わる前に、希螺はレイスの背中に飛びついた。

やれやれとレイスが苦笑する。

そして、希螺を背負ったまま軽々と立ち上がる。

「彩十様、あまりいじめないでくださいね」

「わりぃ。つい」

レイスからの言葉に彩十は悪びれた風もなく謝ってみせた。

それがいつものやりとりなのだろう。レイスはそんな彩十へ一度だけ頭を下げ、部屋を後にする。

希螺が背負われたままちらりと後ろを振り返ると、ひらひらと手を振る彩十の姿が見えた。

目があった瞬間、彩十の口元が動く。

『またな』

それは希螺へそう告げていた。

まだ何か言っているようだったが、閉められた扉がそれを遮った。

もう少し扉が閉まるのが遅かったら、希螺は知ることができたであろう。

『世界再生のための片翼の子供』

彩十が紡いだもう一つの言葉もーー

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