オバケの駐在所
市松模様の
チョコレートみたいな
重たい扉を開けると、
また冬を思わせるような冷気が
表通りに通じる階段から
滑り込んできた。
同時に水を切る
車の音が聞こえた。
「あれ、雨降ってるよ?
寒さが急に
ぶり返してきたと思ったら」
傘を持ってなかった俺たちは
止むかもわからない雨を
しばらくそこで眺めた。
階段を上ったためか、
ぼーっとしてても
アルコールのせいで
体が揺れる。
「……みゆきとあんたって、
こんな日でも
よく駅まで遠回りして
帰ってたよね」
と、突然ぽつりと
小百合が言いだした。
「あ、ああ。
外堀から神田橋に
ぬけた時もあったな」
「何がたのしいの?
足が疲れちゃうし
私は早く帰りたいと思う」
「ああ、……そうだな。
よくわかんない
モニュメントとか
歩道を覆ってる
イチョウが綺麗だったな。
社員の目も……ないし」
たじろいでいる自分が
本当にどうしようもなく
思えてきた。
俺もその話がしたいがために
ここに来たというのに。
「みゆきのこと
好きだったんでしょ?」
「ああ」
「なら別に見られたって
いいじゃない」
ため息混じりで
半ばあきれているようだった。
チョコレートみたいな
重たい扉を開けると、
また冬を思わせるような冷気が
表通りに通じる階段から
滑り込んできた。
同時に水を切る
車の音が聞こえた。
「あれ、雨降ってるよ?
寒さが急に
ぶり返してきたと思ったら」
傘を持ってなかった俺たちは
止むかもわからない雨を
しばらくそこで眺めた。
階段を上ったためか、
ぼーっとしてても
アルコールのせいで
体が揺れる。
「……みゆきとあんたって、
こんな日でも
よく駅まで遠回りして
帰ってたよね」
と、突然ぽつりと
小百合が言いだした。
「あ、ああ。
外堀から神田橋に
ぬけた時もあったな」
「何がたのしいの?
足が疲れちゃうし
私は早く帰りたいと思う」
「ああ、……そうだな。
よくわかんない
モニュメントとか
歩道を覆ってる
イチョウが綺麗だったな。
社員の目も……ないし」
たじろいでいる自分が
本当にどうしようもなく
思えてきた。
俺もその話がしたいがために
ここに来たというのに。
「みゆきのこと
好きだったんでしょ?」
「ああ」
「なら別に見られたって
いいじゃない」
ため息混じりで
半ばあきれているようだった。