オバケの駐在所
みゆきは
いま野村が担当している
営業の前任者であって、
同期であった小百合の
大の友達であった。
優しくて
謹厳実直な性格であり、
とっつきにくさも
兼ね備えていて、
魅力的な部類の女性だろう。
プランナーとしての仕事も
高い評価を得ていて、
あまり人を頼ったりもしない。
いい子で、
笑顔がかわいかった。
それが――。
「あいつ、
……死ぬなんて反則だよな」
言葉に出して言った。
俺はずっと、
ただ幸せだと思うものを
目先に結わえて
能天気に歩いてきた。
そして今でも、
謝るくらいなら
素知らぬ顔をして
責任転嫁しようとしてる。
そうなんだ。
悔しかったんだ。
すべて上手くいっていたのに。
罪悪感ではない。
ずっと心に
溜めていた気持ちは、
他人に対して思いやりのない
自分勝手な
わがままなのだろう。
そしてそんな男に
卑下な扱いを受けたみゆきは、
般若の仮面をとるように
目一杯の恨みを込めて
包丁を握ったのかもしれない。
「そうは思わないわ」
小百合は言った。
「別に突然ってわけじゃ
なかったもん。
前兆もあったし、
それにあの子が悪いみたいな
言い方しないで」
いま野村が担当している
営業の前任者であって、
同期であった小百合の
大の友達であった。
優しくて
謹厳実直な性格であり、
とっつきにくさも
兼ね備えていて、
魅力的な部類の女性だろう。
プランナーとしての仕事も
高い評価を得ていて、
あまり人を頼ったりもしない。
いい子で、
笑顔がかわいかった。
それが――。
「あいつ、
……死ぬなんて反則だよな」
言葉に出して言った。
俺はずっと、
ただ幸せだと思うものを
目先に結わえて
能天気に歩いてきた。
そして今でも、
謝るくらいなら
素知らぬ顔をして
責任転嫁しようとしてる。
そうなんだ。
悔しかったんだ。
すべて上手くいっていたのに。
罪悪感ではない。
ずっと心に
溜めていた気持ちは、
他人に対して思いやりのない
自分勝手な
わがままなのだろう。
そしてそんな男に
卑下な扱いを受けたみゆきは、
般若の仮面をとるように
目一杯の恨みを込めて
包丁を握ったのかもしれない。
「そうは思わないわ」
小百合は言った。
「別に突然ってわけじゃ
なかったもん。
前兆もあったし、
それにあの子が悪いみたいな
言い方しないで」