オバケの駐在所
「だって、現にそうだろ?
こっちは人生
めちゃくちゃになってんだ。
あんな事しちまったのは
もう十分すぎるほど
後悔してる。
嫌味の1つくらい
言わせてくれよ。
お前だってそうだろ?」

小百合は空を見つめる。
心なしか雨が雪のように
抵抗を受けて
落ちてきている。

だが、春も間近になって
降りだしたみぞれに、
小百合は何も
驚きを見せなかった。

そしてそれを全身で
受け止めるように、
やにわにビル陰から
縁辺に飛び出した。

「もちろん。
だから私は欠かさず
お墓参りしてるんじゃない。
友達と合コンだって
ツーリングだって
温泉だって行きたかったのに、
私は毎日あの子に
しっかりと報告してたわ。
あなたは後ろめたいから
来なかったんでしょ?
それでいいのよ。
私が1人で責任を負えば
いいんだから。
……なのに、なんで
今更そんなこと言うのよ。
あんな事だなんて……
ひどい。
なら、なんであの時
あの子のことを
しっかり愛さなかったのよ!
私のことまでバカにして!
最低よ!
あなたが死んでしまえば
よかったのよ!」

『馬鹿』と
何度も罵りながら、
肩に掛けていたバッグを
めいっぱい振り回してきた。
頬にコーチのモノグラムが
転写するかと思うくらい。
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