オバケの駐在所
「……如才のない行動を
まわりに示さなければ
いけません。
私なんかは自分なりの
ハンドブックを作成して、
よく営業前に
読み返していましたね。
つまりあんちょこですが、
これを読んで、
前回の対応や考え方を
もう一度、頭に巡らす。
これだけでずいぶん相手方に
良く思われるものです。
なにに限っても
そうだと思いますが、
一度これだという所に
線を引いてみて、
それを基準に
不備な点を改善して――」


――ぴちょん。ぴちょん。


……なんだ?

さっきから
どこか水の落ちる音がする。

外は雪。

最上階でなければ
窓もないというのに
どこかで雨漏りでも
しているのだろうか?

部屋の後ろのほうから
話の先を促す
わざとらしい咳払いが
聞こえた。

季節にそぐわないけれど
室内は暖房がよく効いて
乾燥している。

気にしないほうがいいな。

「……アプローチして
みるんです。
たとえやり方が
間違っていたとしても
その線が増えれば増えるほど
経験として
後に生かされるんですから。
下書きは多いほうがいい。
そして3つ。
自分を甘やかさず、
いかにもといった言葉で
間違いを覆い隠さない。
むしろ言い訳をする状況は
恥ずべき状況なんです。
人はなかなか
それに気づけませんが、
取り返しがつかなくなる前に
どうかみなさんには
肝に銘じといてほしいです」
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