オバケの駐在所
目の前のきょとんとした
若い男と目が合った。
睨み返すと、
そいつは挙動を濫して
顔を伏せた。
俺はもう一度
警官のほうを向き直す。
「しかし、行かないわけには
いかないんだ」
警官は困った顔をしたが、
そこをどく気配はない。
すると、
再びカチャリと
ラッチ錠が解かれて
部屋の扉が開いた。
防音で厚めの扉だ。
俺の声は外に漏れない。
なのに例のあの客がいた。
憮然たる面持ちで
眉間にシワを寄せていて、
その後ろには
さきほどの女性――
つまり野村が怯えるように
口角を下げて
付き添っている。
う……、
連れてきてしまったのか。
ここに。
眉も微動だにされない
その顧客は、
白く長い髪をふわりと
7:3に掻き上げて、
コーデュロイのカーキの
フード付きジャンパーという、
お洒落なのか
センスがないのか
いかにも金を
持て余してるといった
格好をしていた。
この人は業界では
ちょっとした有名人であり、
普段は人当たりの良さそうな
顔立ちのくせに
ひとたび経済のこととなると
恐いもの知らずで、
企業の肥大化を図る
M&Aの戦略に部外者ながら
口出ししてきたり、
さらに飛び抜けた資産を
所有しているために
価格カルテルなど
競争自体を統括・支配する
違法紛いなことも
おかまいなしに推し進める。
つまりわがままが
まかり通ってしまう人なんだ。
若い男と目が合った。
睨み返すと、
そいつは挙動を濫して
顔を伏せた。
俺はもう一度
警官のほうを向き直す。
「しかし、行かないわけには
いかないんだ」
警官は困った顔をしたが、
そこをどく気配はない。
すると、
再びカチャリと
ラッチ錠が解かれて
部屋の扉が開いた。
防音で厚めの扉だ。
俺の声は外に漏れない。
なのに例のあの客がいた。
憮然たる面持ちで
眉間にシワを寄せていて、
その後ろには
さきほどの女性――
つまり野村が怯えるように
口角を下げて
付き添っている。
う……、
連れてきてしまったのか。
ここに。
眉も微動だにされない
その顧客は、
白く長い髪をふわりと
7:3に掻き上げて、
コーデュロイのカーキの
フード付きジャンパーという、
お洒落なのか
センスがないのか
いかにも金を
持て余してるといった
格好をしていた。
この人は業界では
ちょっとした有名人であり、
普段は人当たりの良さそうな
顔立ちのくせに
ひとたび経済のこととなると
恐いもの知らずで、
企業の肥大化を図る
M&Aの戦略に部外者ながら
口出ししてきたり、
さらに飛び抜けた資産を
所有しているために
価格カルテルなど
競争自体を統括・支配する
違法紛いなことも
おかまいなしに推し進める。
つまりわがままが
まかり通ってしまう人なんだ。