告白
手を優しく包んでいた手が離れて、背中にまわる。


まるで私が強く触ると壊れるガラス細工のように、そっと抱きしめられる。


清水くんの匂いに包まれる。


香水?


シャンプー?


爽やかな柑橘系の香り。


私の体を包み、染み込んでいく。


「ずっとこうしたかった。」

小さく、かすれた声。


耳に、声が甘く届く。


吐息が、耳をくすぐる。


その刺激に体が微かに震える。


声が出ない。


何を言っていいかわからない。





ユラユラと観覧車が動いていく。





「頂上だよ、どうする?
定番のキスする?」


吐息にまざって耳に届く、かすれた声。


体が動かない。


頭を横にふる事も、縦に頷く事も出来ない。


ゆっくり清水くんの顔が私の首筋から離れる。


「抵抗しないの?」


深い紅茶色の潤んだ瞳で見つめられる。


声が出ない。


そしてまた、ゆっくりと私に近づく。


唇が髪にふれていく。


手が、上から下、下から上へと背中をなでていく。





ユラユラ、ユラユラと観覧車が揺れる。





もう、何もわからない。
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