告白
つないでいた手から、ゆっくりと清水くんの温もりが消える。


温もりが消えないように、手をにぎりしめる。


「ごめん。
俺、調子にのってた。
嫌な思いさせて悪かった。
もう抱きしめたりしないから。」


違う。


嫌な思いなんてしてない。


「清水くん話がしたいの。」


「ああそうか、結局観覧車じゃ話聞けなかったな。
ごめん、俺のせいだな。
話聞くために観覧車乗ったのに。」


うつむく清水くん。


謝ってばかりの清水くん。


そうさせているのは私。


自分が嫌になる。


私、なにやってるんだろう。


清水くんは、気持ちを言ってくれてるのに、私は何も話せない。


これじゃ、手紙と同じ。


中学三年間と同じ。


名前を書けなかった手紙。

清水くんは、いろんな事を書いてくれた。


名前も必ず書いてあった。

学校生活や部活の事、家族の事。


私は、その事に返事するだけ。


自分の事がわかってしまう事が怖くて、学校生活の事なんて書けなかった。


今、どんな授業をやってるか、担任はだれか、何年生か、学校生活を書けば私がすぐにわかってしまいそうで書けなかった。
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