告白
「奈津美、愛してる。
もう離せない。」


顔がゆっくり近いてくる。

私は目を閉じる。


そして頬に一瞬の、唇の温かさ。


あれ?


「帰ろうか。」


幸治くんに手を引かれて、ソファーを立ち歩きだす。


頬だった。


私、キスかと思って。


唇にキスかと思って、目つぶっちゃった。


幸治くんは、頬にキスしようとしてたのに。


一人でその気になって。


恥ずかしい。


すごく期待して、目つぶったみたいじゃない私。


幸治くん、どう思っただろう。


恥ずかしい。


恥ずかしい。


恥ずかしい。


体が熱くなってくる。


「自転車で送るから。」


「うん。」


「寒いから、これ俺の上着着て。」


「うん。」


「手袋も、ちょっと大きいけどつけて。」


「うん。」


「忘れ物ない?」


「うん。」


「しっかりつかまって。」


「うん。」


恥ずかしくて、幸治くんが見れない。


幸治くんの言葉に頷くのが精一杯。
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