告白
一度も道聞かれてない。


幸治くん、私の家知ってるって事だよね。


なんで?


自転車が止まる。


うちに。


うん、あってる、ここは私の家。


「寒くなかった?」


風をきって走っていた幸治くんの方が寒かったはずなのに、私を気づかう言葉。

「ううん、大丈夫。」


なんか、いろいろ考えてたらすぐ着いちゃったし。


「あのね、うち知ってたの?」


「あー、ごめん。」


顔を手で覆いうつむく。


『ごめん』?


なんで謝るの?


「あー、えーと、…。」


話しずらそう。


いったいなに?


「正直に言うけど、ひくなよ。
あー、ひいてもいいけど、嫌いにならないでほしい。」


なんか大事になってない?


うち知ってたぐらいで。


「………けた。」


「えっ。」


うつむいて話すから、よく聞こえない。


「奈津美のあとつけた。」


「はっ?」


「学校から奈津美のあとつけた。」


私あとつけられたの?


気づかなかった。


「ひいた?」


いや、ひくって言うか、びっくりしたと言うか。


「ストーカーだね。」


「へっ?」


竜兄?
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