赤い愉楽
他のみんなも度重なる体罰と
抜け出せないという絶望が


瞳を濁らせ
心を澱ませていた。


籠の中に大量に放り込まれた
ネズミが共食いを始めていたんだ。



でもね

一匹だけ上を向いて
眼の光を失っていないネズミがいたんだ。


「9号室の人ですよね?」


その白いネズミは
初めて会った時




遠慮がちにこう聞いてきた。

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