茜ヶ久保マリネの若気の至り
生臭い肉片の漂う海中には用はない。

ドルフィンキックよろしく、私は尾鰭で海中から飛び上がる。

宙を舞う、瑠璃色の鱗と長い黒髪を持つ人魚。

その姿が満月に照らされる。

そして再び波止場に着地する頃には、私の下半身は元の美脚へと変わっていた。

「……」

無言のまま、海刀神の柄を握り締める。

刀は私の手の中で水になり、バシャッと地面にこぼれた。

…視線を足元へと落とし、小さく溜息をつく。

明けても暮れても、争い、殺し合い…。

どれほど海刀神を振るい、サハギンを斬り刻もうとも、この抗争に終わりは来ない。

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