茜ヶ久保マリネの若気の至り
だが。

この男は天界人などという上等な人種ではない。

空ではなく海の住人。

それもとびきりの魔物だ。

「いい月夜だね、マリネ」

満面の笑みを湛えて、その優男は気安く私の下の名を呼ぶ。

「満月だけでも心地いいのに、こんな月の夜に君の剣舞を見られるなんて僕は運がいい…思わず見とれてしまったよ。流石は人魚の女王茜ヶ久保マリネ」

「その舞を舞わせる為にサハギンをお膳立てしたのはあんたでしょう?」

私は毒たっぷりの視線を優男に投げかけた。

「ねぇ…リヴァイアサン…?」

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